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自然の恵みの国産天然はちみつを多くの方にお届けしたい 【花園養蜂場 松本文男さん、鮎子さん】

お子様からお年寄りまで幅広い世代で愛されているはちみつ。はちみつはどれも同じではなく、産地や花の種類で違うのはもちろんだが、製造過程で大きく違いがあるのをご存じだろうか。こだわりを持って本物の味の天然はちみつを創り続けている松本文男さん、鮎子さん親子にお話を伺ってきた。

大自然の花の香りや栄養がつまった生の完熟はちみつ


市販されているはちみつはほとんどが輸入品で、製造過程で加熱したり、水あめやショ糖を加えたものが多く流通している。

「天然のはちみつ」とは、みつばちが花からとってきた蜜に一切手を加えず蜜だけを搾ったもの。驚くことに国内で販売される国産の天然はちみつはわずか78%だそう。みつばちが集めてきたばかりの蜜は水分が多いので、コストを下げて効率よくはちみつを採るために人工的に熱を加えている、という話も聞く。

花園養蜂場では巣箱の中でミツバチが羽根で仰ぎながら水分を蒸発させて糖度を上げてくれるのをじっと待ちながら完熟したはちみつを採っている。「加熱処理をしたらはちみつの風味や大切な酵素が壊れてしまう。」と文男さん。

本物の味を提供できる喜び。始めたときから今まで一度も信念が揺らいだことはない

文男さんが養蜂場を始めたのは50歳からで以前は建設重機を扱う仕事をしていた。美味しいはちみつに出会えなかったから自分の手で本物のはちみつを創ろうとこの仕事を始めた。最初はまったく商売の仕方がわからず苦労したが、自分の信念を曲げることなく創り続けたところどんどん口コミで広がり多くの方に喜んでもらえるようになった。

「やっぱり本物に勝るものはない」と力強くおっしゃる。


文男さんが熱く語るそばで笑顔を絶やさないで聞いている娘の鮎子さん。今や文男さんは鮎子さんに絶対的な信頼をおいている。取材をしながらお二人の親子の絆の強さは何度も伝わってきた。実は鮎子さんは養蜂場の仕事に全く興味がなかったそうだ。以前は美容関係の仕事で忙しい日々を送っていたが、たまに店番をしたときに県外からわざわざ買いに来て下さるお客様に「ここのはちみつしか食べられせん」という言葉に幾度も心を動かされた。他の養蜂場のはちみつと比べてみたときに、「本物のはちみつの味を残していかなければならないと思った。このはちみつを求めて下さる方がいる限り創り続けることが自分の使命だと思った」と心強い言葉。

仕事を手伝い始めたころ鮎子さんは蜂毒アレルギー体質だということがわかった。蜂に一か所刺されると全身にじんましんができてアナフィラキシー症状が出る。「大変でしたが、家族の支えがあったから頑張れた。ただ不思議と一年ほどしたら体質が改善された」と笑いながら話してくれた。


美味しいはちみつを創る上で大事なことは健康で元気なみつばちを育てることだ。いつもみつばちがストレスなく過ごせるようによい環境を整えてあげるのも養蜂家の仕事。わが子のように愛情を持ってみつばちを育てている。驚いたことに、幼虫のときに良い女王蜂になりそうなものを選び女王蜂として大事に育てているそうだ。長年の経験と高度な技術がないとできない技である。

女王蜂は毎日約20003000個の卵を産む。寿命はみつばちが約40日で、女王蜂は3~4年。みつばちが毎日休むことなく飛びまわりながら採る蜜は生涯でわずかティースプーン1杯ほどの量だそうだ。


黄金の一滴一滴を瓶詰めにして幸せを届ける

取材に伺った日に作業場では巣箱から蜜枠を取り出して分離機ではちみつを搾っていた。ほとんどの養蜂家は現地で搾るが、他の虫などの混入を防ぐため持ち帰ってから屋内で搾っている。分離機の下から流れるように出てくる搾られたばかりの透き通ったはちみつは光り輝いていた。初めて見るこの光景におもわずテンションが上がってしまう。パンにつけていただいたが、まったくクセのない天然の甘さと濃厚なとろみ。糖度は約82度だとか…何と贅沢な自然の恵みだろう…!


全国の多くのホテルが朝食バイキングなどで提供しているのは花園養蜂場の「巣蜜プレート」。蜂の巣をまるごと設置してその場で自然に落ちてくる採れたてのはちみつをお客様に楽しんでもらっているそうだ。大人気で5つ星ホテルなども導入をしている。又「巣蜜」をまるごと食べられるように小さく創って販売もしている。「巣蜜」に含まれるポリコサロールは悪玉コレステロールを抑える効果があるといわれており海外では医薬品としても使用されている貴重な成分だ。


お店には四季折々の花の沢山のはちみつが並ぶ。それぞれ香りと味が違うので特徴に合わせて使い分けると食べ方やお料理に幅が広がりそうだ。地元深谷で採れるはちみつだけでも「あかしあ」「紫れんげ」「野の花」「菜の花」「えんじゅ」「ねぎ坊主」と沢山の種類がある。

養蜂家の仕事のことを伝えていきたい

深谷市の方々に天然はちみつを知っていただこうと積極的にイベントなどを開いている。搾りたてのはちみつを食べられる企画は子供達にも大人気だ。

「地元の方の理解があってこそ私達の仕事が成り立つので、これからも深谷市と何か一緒にコラボができたら嬉しい。深谷野菜×はちみつのお役に立てる情報も発信していきたい」と今後の抱負を語ってくれた。


最後に、この仕事をしていて一番の喜びを感じるときはいつですか。と質問してみた。

「蜂が巣箱からあふれているとき」(文男さん)
「はちみつが沢山とれたとき」(鮎子さん)

大変なことが多い中でも、満足できる最高品質のはちみつが採れることが松本ファミリーにとっては一番幸せを感じる時であり、自信と誇りと家族の愛を感じる時でもある。

はちみつはだれもが口に含んだ瞬間、おもわず笑みがこぼれてしまう不思議な食べ物。栄養価が高く手軽に食べられるのが人気の理由でもあるが、だからこそ本物の味を多くの方に知ってほしいと思った。私はいつもはちみつを食べながら、太陽の光をいっぱい浴びてきれいに咲いている花々を飛びまわるみつばちたちを想像する。一生懸命に蜜を採り、私達に自然の恵みの贈り物を届けてくれるみつばちに感謝をして食したいと思う。

取材・執筆:ふかやさいアンバサダー  李 美栄

PROFILE

花園養蜂場

所在地:埼玉県深谷市小前田644-1

TEL: 048-584-0462

ホームページ: http://www7a.biglobe.ne.jp/~hanazonoyoho/

天然はちみつを買える場所

・花園養蜂場
・道の駅はなぞの
JA花園農産物直売所
・川本農林公園

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