いつまでも記憶に残る一口。たっぷりの極上生クリーム×旬の果物「3℃-sand-(サンド)」でいちごスイーツを味わう
深谷駅改札から東口。交番の横を徒歩2分。
深谷グランドホテルの前に2020年に誕生したフルーツサンドイッチ専門店「3℃-sand-」(サンド)。
営業日は木・金・土の3日間のみ。
「あまりん」が話題になっている今、このお店が持つ魅力に迫りました。
(埼玉工業大学教員の本吉裕之が執筆させていただきます)
3℃さんの店頭のショーケースには、日本各地の旬の果物を厳選し、生クリームがはち切れんばかりのフルーツサンドイッチが並んでいます。
果物の旬の都合上、サンドウィッチやパフェなど、ご来店のタイミングで果物の種類、品種が異なりますので、
季節を感じながら楽しむことができます。
取材させて頂いたのは3月下旬。まさに苺の旬の時でした。
店主の丒久保(うしくぼ)さんにお話をお聞きしました。
営業は週3日。その理由とは?
まず、「なぜ木・金・土だけの営業なのですか?」とお聞きすると、
「実は私、美容師でして。週の半分は美容院にいるんですよ」
丒久保さんのご出身は羽生市。
深谷との縁は、「東京駅と似たような雰囲気があるところだから」と薦められ
「東京と同じだったらいいかな」と思い、来てみたら「駅の形だけじゃないか!!(笑)」と。
そういった出会いから始まりましたが、深谷に住むことでその魅力に魅せられたという
笑顔の素敵な楽しい店主さんです。
アジアを旅し、果物の魅力を知る
美容師の仕事をする傍ら、ある時にアジアを回っていたそうです。
「東南アジアの国って、果物が日常に溢れているんですね。
味も濃い。熟れている。値段も安く、美味しいので、日本に帰ってきた時に果物で仕事をしたいと思いました。
果物は、日本では少し遠い存在だったりしませんか?
時期によっては、みかんやいちごが少しあるくらいというか。」
確かに、一人暮らしをしている学生に話を聞くと、果物を自分で買うという機会がほぼないと聞きます。
コンビニで買う100%果汁のジュースは、濃縮果汁還元の輸入ものであるものが多く、
本当の国産果物の味わいは身近ではなくなっているのかもしれません。
「インスタグラムが流行り出した頃、東海地方でフルーツのサンドイッチが少し話題になっていたことを知り、
果物屋さんと北海道から京都まで回って、調査をしたんです。
果物の産地や仕入れ先などを勉強した次に取り組んだのが、「人々の好みを探そう」だったんです。
どんなものが好まれるのかを1年半くらいかかりましたね。
おかげさまで、関東エリアでもフルーツサンドイッチ専門店の先駆けになったと言われています。
よしこれで行こう!となったときに、コロナ禍に襲われ、先行き不安の中でのオープンになりまして・・。」
そんなまさに逆境の中での船出。
オープンは、2020年5月。
緊急事態宣言など、新型コロナウイルスによって世の中に重い空気が流れている中で、
3℃さんのお店の前には、長い行列ができました。
「イートインを確保しつつも、テイクアウトに特化したことなども含め、本当に不安でしたが、
多くのお客様にお越しいただき、暑い中で並んでいただいたお客様にも助けていただきました。
あれから4年が経ち、深谷という街に、少しは根を張らせていただいたかと思っています。
街のシンボルというか、深谷の一つの灯りになれればと思っています。」
移動販売のリクエストも多く、こちらの軽トラを見かけた時には要チェックですよ!
あなただけのフルーツサンドのストーリー
まずは、「いちごサンド」
「あまりん」「かおりん」の仕入れ先は行田市の「ベリーズファームハセガワ」さん。
話題の「あまりん」は入手困難になりつつある埼玉から生まれた品種。
強い甘味と色が鮮やかであることが特徴です。
日本野菜ソムリエ協会が主催する「全国いちご選手権」では、
埼玉県内の生産者が出品した「あまりん」が2年連続で最高金賞に選ばれました。
今回は「あまりん」のサンドをいただきます。
まず、一口。
食パンと生クリーム。透明感を感じる生クリームが溶けていくのです。
見た目の生クリームの量と異なり、むしろこのボリュームがないと果物を受け止められないのではないかと感じつつ、
あまりんにたどり着くと、今度は溢れる果汁がクリームを包んでいく。
これは美味しい・・。
一緒に食した私の娘からは「これからはショートケーキより、こっちの方がいいなー」と、次の誕生日の注文が入りました。
「一番の苦労は「クリーム」の研究でした。
甘くなくても、美味しいと思ってもらえるクリームを作るのは本当に大変でした。
ですので、大変申し訳ないのですが、オーガニックのお砂糖を使っていること以外、クリームのレシピは非公開にしています。
食べた時に、まずパンを感じ、クリームが来て、甘味を感じたその次に果物の食感、果汁。
最後に果物が舌が触れた形で終わるように計算しています。
そして食べ終わった後、鼻に果物の香りが残るようにと。そんなストーリーをイメージしています。
フルーツサンドの醍醐味は、見た目としての視覚、食感、そして味覚には風味も大事です。
視覚で楽しみつつ、パンの食感とクリームの甘味と、
果物の香りでさっぱり食べ終わるといった、一つのストーリーをこのサンドイッチに閉じ込めています。
最後は香りで余韻を愉しいんで欲しいなと。
でも、どんな食べ方をしていただいても良いんです。
クリームたっぷりで、食べずらいものを敢えて出していますが、
その結果、集中して食べることになると思いますので、
楽しんで欲しいと願っています。」
フルーツサンド専用のパンにもこだわりが
「材料の調整を何度もお願いし、その上でプロの技によって生み出された専用のパンを用いています。
パンに含まれる「塩味」が、サンドウィッチの印象に大きく関わりますので。」
パン屋さんを片っ端から周り、自分たちが作り出したクリームを全て試して、
馴染みがよく、香りが合う、そして最終的に「美味しいパン」を探すのは大変だったそうです。
フルーツサンドが口の中で最初に舌の上に触れるのが何よりも「パン」の部分ですから、そこへのこだわりは並大抵のものではありません。
丒久保さんが選んだのは、深谷市内にある「T’z Bakery KOHSHI」さんでした。
発酵のさせ方など、かなり細かい依頼にも答えていただき、本当に感謝しているそうです。
パン、生クリーン、そして果物。香り。試行錯誤の上誕生したのが、このフルーツサンドなんですね。
希少果実をフルーツサンドで
次は、「湘南ゴールド」サンド。
湘南ゴールドは、神奈川の農業技術センターが12年をかけて生み出した果物です。
なんと、数千個体から見つけ出したという品種で、「黄金柑」という柑橘類(ゴールデンオレンジ)の味と香りを持った新しい果実。
グレープフルーツのような食感と香りを感じつつも、甘みが凄いのです。
噛んだ分だけ口の中が果汁でいっぱいになるのですが、それを邪魔しない生クリームと、パンの味わい。
「食べるとグレープフルーツを想起しますが、苦くなくて、噛むとみかんの味になるとても面白い果物ですね。
香りがフレッシュで、あまり流通していないのですが、こういった形で皆さんに楽しんでもらおうと仕入れています」
ガトーショコラのいちご載せ(ビターなチョコ味が特徴です)をマルシェ用にご準備されている中で
お話を聞いていたのですが、気がつくと、奥の調理場では何やらすごいパフェが作られ始めています。
こちらが「設計図」です。
目の前に、設計図通りの夢のようなパフェが運ばれてきました。
どうしても店内では収まらないため、
目の前のあかね通りのレンガの上に置かせていただきました。
どうでしょう。このインパクト!
埼玉県産のべにほっぺやあきひめをふんだんに使ったいちごパフェ。
美容師さんの繊細な手つきが生み出す一品は、まさに芸術品です。
べにほっぺは、果肉も中心まで赤くなることやほっぺが落ちるような甘みを表現しているそうですが、まさにいただいている間は夢のひとときでした。
食した後も、ずっと記憶に残る体験。
紅ほっぺという名前の由来は、果皮が美しい紅色で果肉も中心まで赤くなること、
そしてほっぺが落ちるような食味のよさを表現しているそうですが、まさにほっぺとクリームが落ちそうなくらいの衝撃がある、
一生記憶に残るであろう美味しいいちごパフェでした。
「持ち帰り不向きなパフェを売りにしています!(笑)」とのことですので、ぜひイートインスペースでお楽しみください!
こんなに大きなパフェはさすがにという方向けに、いちごプリンもございますので、ご安心を。
「せとか」のフルーツサンドは、柑橘類の「大トロ」と評され、最高峰の味わいとされる果実です。
実は取材のために購入し、自宅で食べながらと思っていたのですが、
娘に先に食べられてしまいまして。。。よって食レポはできないのですが、
「すごく美味しかったよ!!」と言われ、その笑顔に許すしかありませんでした。
せめて一口・・と思ったのですが、「止まらなくなっちゃった」そうです。
次回は必ず。
果物の更なる可能性を
丒久保さんに「いちご」について、聞いてみました。
「果物界のクイーンですよね。
年間を通して「お姫様」だと思います。
いちごをはじめ、果物にはまだまだ可能性を感じていまして、例えば・・」
と特別に写真を見せていただきました。
(写真提供:丒久保さん)
「お祝い事など、事前に相談いただければ、このようなセットも作っているんですよ。」
花束のようなフルーツ盛り合わせ。目にも鮮やかな記憶に残る彩り。
誕生日などの問い合わせも増えてきているそうです。
美容師さんという、美を追求するお仕事をされているセンスの高さも
そこに表現されているように感じました。
夜パフェ文化を深谷にもということで、遅い時間でも対応できるように努力しているそうで、
今は夜10時まで営業時間を延長されているそうです。
お酒を飲んだ後にお越しになる方が増えているとのことで、新しい文化は一人の強い想いから生まれるのだということを実感しました。
自分へのご褒美に。大切な人の笑顔のために、
いつまでも記憶に残るフルーツサンド 、いかがですか?
取材・執筆:埼玉工業大学 人間社会学部情報社会学科 准教授 本吉裕之
INFOMATION
3℃_Sand(サンド)
■営業時間:11:00〜22:00(もしくは売り切れまで) 営業日は木・金・土
※イベント出店などでお休みの時もございますので、詳しくはお店のInstagramをチェックしてください。
■定休日:日、月、火、水
■住所:埼玉県深谷市西島町2-3-21 日の出ビル
■駐車場:店舗前-市営駐車場 をご利用ください。※10分以内無料 以降有料となります。
■席数:無し・イートインスペースあり
■深谷駅からのアクセス:徒歩で約2分
■プレミアム・アウトレットからのアクセス情報:車で約20分 Google Mapの経路情報
■(Instagram):https://www.instagram.com/3_sand.fruit/
※果物の旬の都合上、サンドウィッチやパフェなど、ご来店のタイミングで果物の種類、品種が異なりますので、
季節を感じながら楽しむことができます。
※営業時間や定休日、金額などの掲載情報は変更になる場合がございます。インスタグラムをご確認の上お出かけください。
野菜の楽しさに
何度も訪れたくなるまちへ。
肥沃な土地とお日様のチカラに恵まれ、全国有数の野菜・農業のまちとして知られる、ここ埼玉県深谷市。ベジタブルテーマパーク フカヤは、『関東の台所』とも呼ばれるこのまち全体を「野菜が楽しめるテーマパーク」に見立て、何度でも訪れたくなる観光地となることを目指しています。
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