麺UP

深谷の誇り・至高の麺「麦屋」 誰もが笑顔に、そして幸福にするうどん

行列が絶えない、深谷を代表するうどんの名店の一つ「麦屋」
食べログ百名店2020に選定されてからは、今まで以上に遠方からこのお店を目的に深谷を訪れる人も増えておりますが、
「麦屋」の魅力を、埼玉工業大学 教員の本吉裕之がレポートいたします!

「武蔵野うどん」の認知向上とともに、埼玉=「うどん」の存在感が増していますが、うどん生産量は香川県に次ぐ全国第2位であることを知らない人もまだ多いかもしれません。
埼工大付近で道を尋ねられることが多々ありますが、その全てが「うどんの麦屋さんはこの辺りですか?」でした。
コスモス街道と呼ばれる深谷と本庄をつなぐ道路の出発点付近にある「麦屋」さん。学生達と共に訪れてから、私もこの店の虜になった一人です。

ジャズが流れる店内

初訪問時、ガリバニウムの壁を左手に緩やかな石畳を進み、店舗に入るとジャズが流れるその空気感に、不思議な感覚を覚えました。中央にはカウンター。そしてレトロ感のあるポスター。
讃岐うどんの本場である香川県では、製麺所の一角を店舗にしているお店が多いですが、ここは「麦」を追求している「研究所」、もしくは店主の「秘密基地」に訪れたような雰囲気を感じたことを覚えています。
座席数は、カウンター席と4人掛けの座席などが配置され、30名ほど入れる店舗の昼の営業時間はいつも満席状態。

人気の「半熟玉子天付き肉汁うどん」

冷たく〆た麺と、熱いつゆでいただきます。
誰もがその食感に驚く、一口目でわかる強いコシ、そして麺の旨み。
何度も噛まねばと思いつつも、その喉越しの良さに箸が止まらなくなります。
麺は厳選した国産の小麦を数種類ブレンド。

こだわった手打ち麺には凹凸があり、光が反射し輝きを増しています。
武蔵野うどんの特徴でもある、いわゆる『ワシワシ』タイプの麺。コシが強く、最後まで食感を楽しめます。

あとでその秘密が明らかになりますが、つけ汁にある「コク」が、箸を置くことを許しません。

この極上の麺のパートナーとなっている「国産麦豚」は臭みがなく、その甘さが特徴。麦豚から滲み出る甘味は、つけ汁が持っているコクに甘みを加え、麺の歯応えに負けない旨みを包み込んでいます。
全ての旨味が掛け算となり、口の中で噛むことの楽しさを教えてくれることでしょう。

「半熟玉子天」をいつ投入するか、という贅沢な悩み


丁寧に揚げられた半熟玉子に箸を入れると、溢れ出る黄身。
そしてつけ汁に浮かべ、うどんを絡めていただく。
視覚に加え、うま味、甘味、塩味の味覚が脳を直撃し、直後に幸せが襲ってきます。

 肉汁うどんの「つゆ」には麦豚の甘味と、年間を通じて仕入れている「深谷ねぎ」が持つ甘みが溶け込み、甘味と出汁の絡みが混ざり合い、この極上の味わいが完成しています。

双璧をなす「カレー汁うどん」

 肉汁うどんを食べるぞと思い、店内に入るとカレー汁うどんを食している人に釣られ、気がついたらカレー汁うどんを注文してしまう、という経験がある方も多いのではないでしょうか。

 この麺の輝きと、見事なまでに絡みつくカレー。

麺を啜ると、その麺の弾力がカレースパイスに負けじと、口の中で踊り出します。
何度も噛んで堪能しようと試みますが、麺の美味しさにすぐに飲み込みたくなる欲との戦いが口の中で始まります。
麦豚のバラ肉がスパイスとの相性がよく、思わずため息が出てしまいました。
これはなんといううまさなのかと、カレー味と深谷ねぎの相性も改めて感激。
うどんに添えられた生の深谷ねぎは辛味を、カレーと共に煮込まれた深谷ねぎは甘みを楽しませてくれます。

 恐らく、多くの人はこの時点でリピーターになることが確定され、次いつ来れるだろうかと脳内のスケジュール帳を開いてしまうことでしょう。また来週来ようと。

リピーターの方がほぼ注文する大きめの「かき揚げ」もお願いしました。

野菜の甘みを、絶妙なタイミングで引き出している逸品。地元野菜を中心にした仕入れにこだわり、つけ汁につけることでさらに素材の甘みが引き立つ。丁寧な仕事ぶりがここにも現れています。

店主にインタビュー

昼の営業時間は大変混み合っているため、夜の営業時間に訪問し、お話を伺いました。

駅から少し離れた場所にあるため、なぜこの場所に作られたのかをお聞きすると、

「全部、自分のインスピレーションなんです。ここが良い、と感じまして。近くには川が流れていて、この前の道(コスモス通り)も好きですし。」

しかし、20108月に開業した際、まったくお客様が来ないという時期を経験。
その後の東日本大震災による自粛による影響で、大変苦労したそうである。
今後、どうなるのか、と心配する日々が続く。
開店当時は埼工大にもお越しになり、チラシを置いてもらえないかといった交渉もしたりなど、並々ならぬご苦労もされ、
 そして今、食べログ100名店2020にも選出された深谷を代表する店舗となり、多くの人の胃袋を掴み、昼には10台以上止められる駐車場がすぐに埋まり、行列が絶えない人気店へ。

店主のご実家が籠原にある蕎麦屋とのことで、幼き頃からその出汁や麺の製法に精通。
そしてご自身がうどん店を出すにあたり、「かえし」、「だし」の組み立てが「蕎麦屋のつけ汁」がベースとなっているため、通常のうどん店の手法とは異る。

店主は謙遜し、「他のうどん屋さんのことはわからなくて、独学なんですよ」とおっしゃるが、厳選した宗田節・鯖節・昆布から取った合わせ出しと蕎麦屋視点で作られた「かえし」を合わせたつゆに、この店の魅力と、店主の哲学が表現されている。

お土産用の「冷凍 肉汁うどん」

2人前で1500円(税込)
これは新しい深谷土産になっていくことだろう。
私も家族へと購入した。この美味しさ、そして驚く顔が想像できる。

うどんだけではない、店主のこだわり

店主がこだわっているのは、うどんだけではない。
実はコーヒーへのこだわりも凄い。

この記事をお読みになっている人の中には、何度も麦屋に訪れ、ほとんどのメニューを食された人もいるかもしれません。
そのような方にお勧めしたいのが「コーヒー」なのです。
冷静になって考えると、ここまで小麦のブレンド、返しの調合、出汁へのこだわりを持った店主が私に勧めてきたコーヒーは、ただものではないことに気が付かねばならない。
 最初に感じる酸味と、その次に続くコクの深さ。
相当なこだわりをもって提供されているこのコーヒーが150円でいただけるのは、本当にお客様への感謝価格としか思えない。
この空の下で、うどんに人生を賭け、研究を続けるその瞳に、プロの姿となぜか「サムライ」という言葉が浮かんだ。
サムライとは「不利益や困難にめげることなく、信念を貫く人」という意味がある。

 店主の嶋田伊織さん
「その季節に合わせた期間限定メニューもおすすめです。この夏は「ナス肉汁うどん」で皆様をお待ちしております。」

取材を終えて

店を出ると、空が大きく広がる。
周りに高い建物がないこともあるが、大空を体で感じることができる。
店主がこの地を選んだ理由が、ほんの少しだけ分かった気がした。

取材・執筆:埼玉工業大学 人間社会学部情報社会学科 准教授 本吉裕之

INFOMATION

麦屋

■営業時間:

[月・土・日]
10:30~15:00(L.O.14:30)
[水~金]
10:30~15:00(L.O.14:30)
17:30~20:00(L.O.19:30)
*麺がなくなり次第終了
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

■定休日:火曜日
■住所:埼玉県深谷市萱場265-3

■電話:048-575-1412

■駐車場:有り(16台)

■アクセス:JR深谷駅から車で5分(徒歩の場合30分弱)JR高崎線・深谷駅より2km。
■ふかや花園プレミアム・アウトレットからのアクセス→Google Mapの経路情報
自動車・バイクが便利。

※営業時間や定休日、金額などの掲載情報は変更になる場合がございます。あらかじめ各店舗・施設に確認の上、おでかけください。

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野菜の楽しさに
何度も訪れたくなるまちへ。

肥沃な土地とお日様のチカラに恵まれ、全国有数の野菜・農業のまちとして知られる、ここ埼玉県深谷市。ベジタブルテーマパーク フカヤは、『関東の台所』とも呼ばれるこのまち全体を「野菜が楽しめるテーマパーク」に見立て、何度でも訪れたくなる観光地となることを目指しています。

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